2014年8月21日木曜日

ヘタレ主人公の系譜

『横道世之介』で気になってしまったんですが、ヘタレ主人公がステキな先輩や彼女に囲まれて周りに流されて「俺だけなにやってんだろう」的な述懐をする「ヘタレ物」(勝手に命名)ってどこから来たんでしょうね?私は翻訳物が苦手で、海外物は本当に疎いのですが、とりあえずアメリカではスーパーマンしかないと堅く信じている(笑)

『ノルウェイの森』は「ヘタレ物」でしょうか?時代は違うけれど、「時代ヘタレ物」として『世之介』と同じジャンルに入れたい気もします。

アニメにも詳しくないけれど有名な『エヴァ』は出てきた時とんでもない主人公だと思ったけれど、「アニメヘタレ物」の先駆者としては王者「のび太」がいます。

「ヘタレ物」の元祖は明治後期からブームになった「私小説」では?女弟子の蒲団の匂いを嗅いで悶絶する小説家から始まる系譜。日本独自の方向に突っ走ってしまった、醜く弱い作家自身をさらけ出す不思議な小説群。そんなのが原点だったらおもしろいなあ。さらに今は思いつかないけれど、もっと古典の時代までさかのぼったらもっとおもしろいと思います。

なんか、この「ヘタレ物」に日本の文化のエッセンスが詰まっている気がしています。小さい物が好きで、弱い物が好きで、ヘタレな物が好き、みたいな感じ。大きく強くわかりやすくキンキラキンのものを排除する美意識につながる気がします。仏像だって、中国の「尊いからキンキラキン」は見た目からも金(きん)を使う価値的にも非常に単純で分かりやすい。金がはげたところに価値を見いだす日本の感覚は、やっぱり普通じゃないように思うんです。高度というか、ひねくれているというか、日本人でありながら非常に興味がある価値観です。強さだって、客観的に見れば弱いより強い方がいいに決まってる。なのに判官贔屓しちゃって、甲子園でも点を取られている方を応援しちゃう。この感覚ってなんなんだろう?

弱い物に価値をおくのは天皇制も影響してるのかなあ?他の王や皇帝と違って、軍隊をもたず弱いからこそ最強という立ち位置は「強い者こそが王者」という原則を破っているから。

…何の知識もないのに、無責任に変なこと書き殴ってすみません。

ただ、ちょっと気になるのは「ヘタレ物」の村上春樹はノーベル賞候補、「エヴァ」も「ドラえもん」も世界で大人気だということ。
これって、世界が日本風にヘタレ化してるのかな?
世界でこれらの作品がどう受け取られているのか、知りたい気がします。

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