2014年8月18日月曜日
加門七海『もののけ物語』
勧められて読んだ作家さんなのですが、途中まで男性だと思いこんでいたのです。 この人の文体がさっぱりしていたからか、骨董の話が多く、こういうコレクター気質は男性が多い というイメージがあったからか、はたまた「加門」という名前から「嘉門達夫」のイメージを 無意識に抱いてしまったのか??
で、この本の中で、筆者が市松人形を集める、もしくは集まる話が出てきて、私の脳内の筆者の想像がだいぶアブナクなっていた、という話は置いておいて…。
題名にある通り、もののけに関わる話が多いのですが、私には霊感が乏しいし、 恐がりなので、一番楽しく読めたのは前半にある不思議な骨董譚でした。古い物は長年生きているからこそ、なにかしらの物語をもっています。私は彼女ほどの経験はしたことがないですが、古い物や骨董市などが好きな人間としてとても親近感が持てました。
「白澤と表具屋」
白澤は中国の神獣で、昔黄帝に捕まえられて1万種類以上の妖怪の情報を黄帝に教えたことから、日本では魔除けや病除けの神様になったそうです。見た目が怖いのであまり残っていない白澤様の掛け軸を手に入れて、表装してもらう話。
飛び込みで入った表具屋さんがとんでもなく職人で、三年かけても表装ができない…。その彼の話す内容がとてもおもしろかったです。これだけこだわれば三年かけてできないのがとても深く理解できます。紙数の関係で書けていないことも多いようですし、続きが知りたいものです。果たして表装はできあがったのかしら?
沖縄の観光地になっている首里城が、復元された新しい場所であっても聖的な空間として存在していて、ひどい行動をすると悪い報いがあるという話とか、御神輿に神様をお乗せすると重くなるという話も興味深かったです。
以前私が靖国神社に行ったとき、靖国神社の祀りでも途中で重くなるという説明を読んだことをふと思い出しました。
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