2014年8月22日金曜日

三谷幸喜『清須会議』


三谷幸喜さんは「古畑任三郎」が大好きでよく見ていました。それこそ保存版でビデオを録画していたほど好きでした。テレビだと「振り返れば奴がいる」「竜馬におまかせ!」「総理とよばないで」とか。映画は「12人の優しい日本人」「ラヂオの時間」「みんなのいえ」「THE有頂天ホテル」「ザ・マジック・アワー」「ステキな金縛り」…案外観ていて自分でびっくり。

「清須会議」もずっと気になっていたのですが、今になって読みました。映画はもう少ししたら観る予定なので楽しみ。

私の中では三谷さんと和田竜さんは同じジャンルになってます。二人とも良い意味でも悪い意味でも時代劇ではない。そして両方設定が新しい。重箱の隅をつつくような歴史の話を見つけてくるのが二人のおもしろいところです。和田さんは忍者や海賊など特殊な能力や文化をもった存在を描くことが多いですが、三谷さんは王道の歴史の中からマニアックな所を選ぶ感じですね。

今回も清須会議というマニアックなところを選んだのが三谷さんらしく興味をもちました。映画ではなく演劇が中心の人だけあって、戦国時代をテーマにしても戦場のスペクタクルなシーンを描こうとしないで室内の会議を描いてしまうところが、たぶん本人は普通に思っているのでしょうが、戦国物としては異色ですね。

映画の薄いパンフレットを見ているので、信雄は妻夫木君、柴田勝家も役所さんで脳内再生しました。でも、あとは昔見ていた大河ドラマ「秀吉」のイメージが強すぎたのか、秀吉は竹中直人さん、寧は沢口靖子さん、滝川一益は段田さんがしゃべってました(笑)映画を見たら大河ドラマのイメージが三谷版に上書きされてしまうと思うので、しばらくこの独自キャストを脳内で味わいたいと思います。

小説を読んだところでは正直「あっけないな」と感じました。三谷さんはコメディを作っていると思うのですが、コメディの軽さがあってこそ生きる作品の重みが今回ほとんど感じられなかったのが残念です。コメディはおもしろきゃいいんだよって、思えなくなっちゃったのは私が年を取ったのかなあ?でも「12人の優しい日本人」はコメディの中にも心を揺り動かされるものをたくさん持っていたように思うのだけど。コメディの形で登場していてもその奥にあるそれぞれの日本人たちの叫びは今も私の胸に残っているのに…。「ラヂオの時間」だって、とてもコミカルな演技なんだけれどだからこそそこに優しさが詰まっているのがはっきり分かって涙が出てくるような時間があったはず。コメディってバカなことやって笑い取るだけの薄いものではないと思うのに、今回の作品は登場人物みんなの心が軽い気がしてしまいました。この作品を三谷さんがどういう映画にしたのか、観るのを楽しみにしたいです。


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