2015年1月6日火曜日

◆柚木麻子『ランチのアッコちゃん』



仕事の同僚から「恋をしなさい」と言われて紹介された本。たっぷり半年以上放置し、ある日思い立って読み出し、さくさく2時間ほど?で読了。

感想とすれば、「お茶漬け本」。臭みもなくお茶漬けのようにサラサラ読める。


失恋した若い女子が暗い顔で自作の弁当を食べる気力もなく落ち込んでいると、就職先の出版社の編集長・アッコちゃんがそれを代わりに食べる。それをきっかけに女の子は1週間お弁当をアッコちゃんに作り、女の子はアッコちゃんが日替わりで食べているランチを食べに行くことになる。毎日手紙や地図を頼りに新しい店の新しいご飯を食べることで女の子は元気を取り戻すとともに、仕事場のアッコちゃんの違う顔をしることになるという話。


毎日変わるランチがおいしそうでお腹がすきます。特に印象的なのは後半に出ているポトフですね。ちょうど読んだ時期が冬だというのも影響しているでしょうが、脳裏に浮かぶポトフがおいしそうでおいしそうで(笑)
わたし、あまりポトフは好きではなかったのですが、食べたくなってしまいました。


残念な点を言えば、「アッコちゃん」のネーミングは良かったのですが、初登場シーンで、紅白に出た例のアッコちゃんに似ているのが由来というのが書いてあり、脳内イメージが

全部あのアッコだよ!

この本では長身で怖そうに見えるアッコちゃんが違う場所に行くと違う顔を見せているというのが見せ場なのに、すべてあのアッコで脳内再生されては、文から想像する楽しみを失います。特にアッコさんはキョーレツなイメージですから引きずられてしまいますね。仕事場シーンでは良いのですが、他のシーンではイメージが邪魔になりました。


もう一つは、表紙にも出てくる主人公の女の子がアッコちゃんに作る弁当が魅力的でなかったこと。お弁当を作るシーンが描かれていないのです。演出でしょうが。

でも、女の子の心の状態とお弁当の中身は連動していて、女の子の心が回復し、新しい世界を知っていく中でお弁当の内容も変わると思うのです。その際に、そのお弁当を作る時の作業一つ一つに変化が出ると思うのです。

女の子がアッコちゃんのご飯を代わりに食べるシーンを中心にした結果省いたのだと思いますがそこを丁寧に描いて欲しかったかな。

★★☆☆☆



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